紙のラジオ

だから、読者よ、わたし自身がわたしの書物の内容なのだ。きみが、こんなにも取るに足らない、こんなにもむなしい主題のために時間を使うのは分別のない話ではないか。では、さようなら。

作業日誌:170620 - エルデシュ本の引用など

今日のBGM : Takkyu Ishino - Ghost in the Shell

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 これも懐かしい曲。私がテクノのCDで初めて買ったのこのアルバムだったと思う。それだけです。

作業日誌

 今日は通院日だった。家に帰ると午過ぎ。夕食後に作業するかもしれないが日中は作業しなかった。

読書記録 : エルデシュ

文庫 放浪の天才数学者エルデシュ (草思社文庫)

文庫 放浪の天才数学者エルデシュ (草思社文庫)

 草思社エルデシュ伝記本。だいたい誰かの伝記って長いわりに途中かなりの領域で飽きるんだけど、これは内容の7割が面白いというかなり稀有な本だった。数学に興味ないと5割くらいかな。でも伝記としては無類に面白いのでオススメです。伝記ってほど大げさなものでもないか。人物読みもの。
 というか数年前に読んで二度目なのでやっぱりおもしろいと思って手元に置いていたんだと思うけど、まあ読み返すまでこんなにおもしろかったということを忘れてるんだよな。

 エルデシュ本で出てきた様々な概念についての本やウェブサイトを見る。本というものは今のところ何よりも情報のつまっているものなのでそこから樹状に手を伸ばすことができる。今日の病院での待ち合いにゲーデルの解説本と『数学を作ったひとたち』のフェルマについて書かれた章を読んだ。

 エルデシュ本からのおもしろい引用

(マーティン・ガードナー曰く)「初めて会ったとき、かれは開口一番こう言った。『いつ着いたのかね?』ぼくが思わず時計を見ると、グラハムがこっそりと教えてくれた。それがエルデシュ流の『いつ生まれたのか?』という意味だとね」エルデシュは同じ質問をこんなふうにも表現した。「いつ、生まれるという不幸に見舞われたのかね?」

エルデシュ語には特別な語彙があった(中略)「ボス(女性)」「奴隷(男性)」「捕獲された(結婚した)」「解放された(離婚した)」

「女性はボスで男性は奴隷だが、子供たちは本質的にボスなんだ。だから一度、こう訊かれたことがある。『男の子はいつから奴隷になるのか。もし男の子が元来ボスなら、いつ奴隷になるのか』とね。わしはすぐに答えたものさ。『ボスの尻を追いかけはじめたときからさ』」

だれかが「死んだ」とエルデシュが言うときには、そのだれかが数学をやめたことを意味した。人が死んだときには「去った」と言った。

 あとページが曖昧なのでうろ覚えなんだけど、カントールの『無限』に対する洞察についてポアンカレも軽視したとか、デカルトでさえ当時提唱された負の数(-1とかのマイナス)の存在を認めなかったとかいう話があった。
 過去の天才が一人で考えたことの100分の1も私のような一般人は考えつかないが、過去の100人以上の天才の発見したことを私はすでにあっさりと頭の中に概念として入っている。デカルトでさえ受け入れなかった負の数という概念やポアンカレも軽視した無限という概念も、いまの私だけでなく一般人もそのまま受け入れている。個人としての能力よりも種としての能力(教育ですね)の方が特筆すべきものなんじゃないかなとか。

 マイナスや無限という概念は、様々なことを考えるアナロジーとしてとても重要なものだと感じるのでその概念が頭にあるかないかってだけで洞察できる範囲がぜんぜん違うだろうなとか。

 あと

ディオファントスの『アリスメティカ』(略)の何巻かはアレキサンドリア図書館の二度の火災によって失われた可能性がある。一度目は紀元前四七年、ジュリアス・シーザークレオパトラの船に火をつけ、その炎が近くにあった図書館に燃え移った。

 ってアレクサンドリアの地理どーなってんだよ図書館は海の家なのかとか思ったんだけど

Ancient Alexandria Egypt
http://www.ancientvine.com/avimage/ALEXANDRIA_map.jpg

The destruction of the Great Library of Alexandria | Ancient Origins
http://www.ancient-origins.net/sites/default/files/field/image/library-alexandria-destruction.jpg

 これ見ると図書館はかなり海辺でクレオパトラの住居は小島になっててたぶんその周りにずらっと船を浮かべてたんでしょう。それにしてもその飛び火で図書館燃えるってマジかよという感じ。ページを詳しく読んでないので細かいところはわかりませんが。