紙のラジオ

だから、読者よ、わたし自身がわたしの書物の内容なのだ。きみが、こんなにも取るに足らない、こんなにもむなしい主題のために時間を使うのは分別のない話ではないか。では、さようなら。

16.3.19 / 木 / 晴れ

寄生生物(こいつら)はだいたい何のために生まれてきたんだ

寄生獣 完全版』八巻177ページより。

 わたしは一体何のために生まれてきたのだろうか?
 他の人間は、そのへんにいる虫は、夜に浮かぶ月は、なんのためにあるのだろうか?
 私の身体は生き延びるために空気中の酸素を取り込み、二酸化炭素を吐き出す。水を飲み、他の生き物を食べて栄養を摂取する。生きるということは、または「存在する」ということは、それだけでとても複雑で難しいことなのだ。
 数々の現象や条件が奇跡的にこの宇宙の歴史上ただ一度だけという確率で組み合わさって、今存在しているものが存在することになる。私の命もその一つだ。
 この、めまいのするようなあまりに桁外れな偶然によって下支えされている命というものを消してはならないのではないかというような考えしか今の私にはない。
 「何のために」という目的よりも「生きている」という有り様のほうがあまりにも珍しく重いことだという気がしていて、その理由を問う気持ちが大きくはならないのかもしれない。