紙のラジオ

だから、読者よ、わたし自身がわたしの書物の内容なのだ。きみが、こんなにも取るに足らない、こんなにもむなしい主題のために時間を使うのは分別のない話ではないか。では、さようなら。

2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

第16回:記憶と他人の中の自分、忘れることは死ぬこと

長い時間だけでなく、ある期間を誰かとともに過ごしたということはかけがえのないことだと思うんだけど、なぜかけがえがないのかというとよくわからない。ちなみにかけがえを大辞林で調べてみると 【掛(け)替え】 1)いざという時の準備に用意された同種…

第15回:人を殺すこと

山から落ちたり波に呑まれたり落雷に遭ったりして死ぬのが自然なら、熊に襲われたり蛇に噛まれたり蠍に刺されたりして死んでしまうのも自然で、人と暮らしているなかで人に殺されるのも自然なことなんじゃないかな。それもどうしようもないことというか、人…

第13回:好き、楽しい、という感覚(前半戦)

久しぶりにあった友達や初めて会った人とでも、話す際には普段は何をしているのかを問うたり問われたりする。これは会話の基本的な形式なので、それについて何か思うことはないのだけど(あるけど)それにどう答えるのかはいつも考える。私は普段何をしてい…