日中、返事の年賀状の絵を描いていた。作業に疲れるとティルマンスの写真集を眺めていた。TASCHENから出ている初期作品集三冊組。見ていてティルマンスの写真はとてもリアルだということを思った。
ティルマンスの写真は「確かに存在したこの世界のごく一部分が写っている」という感じだ。それがリアルという意味だ。いろんな表現の中でももちろんリアルじゃないものを作る写真作品もあるけれど、私は何かがそのまま写ってしまうという部分こそが写真のコアなところだと思うので、ティルマンスの作品はとても好きである。いろいろ加工したり撮る前にポーズを決めたりして、よい画面を構成したりするのは写真の良さから何かをマイナスして別のものをプラスしているように思う。まあそういう写真でも好きなものもあるけど。
とここまで書いて写真集に書かれている評を見ると
Really, Tillmans is a novelist who tells tales of what it is like to be alive right here, right now, and this feels wonderful
–––The Village Voice, New York
“ティルマンスは小説家である。そこで生きているということがどんな感じなのかを伝えてくれる。素晴らしい”
とあった。わたしはこれこそ写真家の仕事だと思うけど、まあ納得。
今週の一曲:Modeselektor - Who Feat. Tommy Cash (Single Version) [MTR093]
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スカスカ空っぽな詩、やる気のないラップ、破壊的だがコントロールされていてマジで何かが壊れることは絶対ないような音。2019年ベストの一曲。