紙のラジオ

だから、読者よ、わたし自身がわたしの書物の内容なのだ。きみが、こんなにも取るに足らない、こんなにもむなしい主題のために時間を使うのは分別のない話ではないか。では、さようなら。

雑記:2019年の振り返り その一

 今年の出来事を振り返ってみる

 頭の方はほとんど忘れてしまったが二月の終わり頃に関東へ引っ越した。これは実家メンが引っ越すと決めたもので私も引っ越す必要はなかったのだが実家メンだけでは引っ越しは現実的に不可能であり私の手伝いも必要だということで一緒に引っ越した。引っ越したら引っ越したでまあいろいろあってしばらくして働きに出た。確か三月だったと思う。

 働きに出た職場がなかなかすごかった。ワンマン経営の極致みたいな長の感情的衝動と思いつきによる不合理の嵐、あまりにも酷い職場なので残っている人間は軒並みイかれている(他の職場でやっていけないような…)、もしくはもう定年までの逃げ切りを覚悟しひたすら耐えているというような場所だった。私の部署は私以外に一人しかいなくその人があまりにもかわいそうでまあいいかと思って仕事をしていた。その人は同世代の女性で、その職におけるキャリアも十分にあるが、最悪の職場だが家が近所できっちり定時に終わる(ので保育園まで子供の迎えにちゃんと行ける)というので続けていた。冗談も通じるいい人だったのでたしか入職したその日に同僚の人に「ここは地獄ですね…まあ僕はダークツーリズム的な気持ちで楽しんでますが、とても職場環境が良くなるようには思えないので数カ月でやめると思います」というような話をした覚えがある。我々はある役割における専門職なので我々のペースである程度仕事ができ、判断もでき、しかも定時でバッチリ帰れるので職場全体は地獄ではあるが自分たちは気楽ではあった。なんせ人手が足りなさすぎるので仕事なんてまともにできるわけがないのでちゃんと仕事をする気持ちは速攻でなくなり、とにかく定時まで仕事して定時になるとピタリと帰る、その間に職場で起こる不条理な長の大暴れをみて陰でゲラゲラ笑って遊ぶなどの日々であった。戦場にいて、しかも生き続けている人間同士には共通のシンパシーのようなものもあり、長と言う強大な仮想敵も共通しているので職員はほぼ皆ゆるく仲が良かった。ものすごく変な人もいたが。私は根がふざけているのでこのような職場はわりと合ってはいるが、しかし仕事上の成長はあまり望めないと感じたため夏頃に体調を崩したついでにこの職場を辞めた。

 しばらくぶらぶらして秋頃にまた同じ職で違う職場に勤めることになった。ここはわりとまともに運営されているので今も通っている。しばらくはここで勉強しながら仕事をして貯金するつもりだ。入職の時期が悪く年末のボーナスはもらえなかったのが少し残念だがまあこれはぶらぶらしている人間には良くある損であるのでしょうがない。夏まで地道に暮らす。

 10月、11月と3月から働いていた前職の人々と酒を飲みに行った。戦場の友という感じで(彼らは今も地獄にいるのだが)仲良く関係が続いているのは嬉しい限りである。このうちの一人は特筆すべき善人なのだがここでは詳しくは書けない。うちの母親は「あんたは何もしてないんやからそういう人が困ってたら助けたらなあかんよ」と言う。私もそう思う。

 以前は奈良に住んでいたのだが、こちらは何となく田舎だなと言う感じがする。引っ越しについてきて失敗だったなと思わんでもないが、まあ人生テキトーに生きていたら失敗はつきものであるのでしょうがない。まあ山が近いのでちょっと車に乗れば温泉もいくつかある、温泉や泳げるような川が近いのはラッキーであった。今住んでいる新実家は年老いた両親のためにある程度生活に便利な新興の住宅地にあるのだが、金が貯まったら一人でもう少し山の方へ引っ越してもいいなと思っている。

 奈良にいたときにはマンションで猫を飼っていたのだが、今の新実家では庭や外があり猫は少しづつ外に出たりする。彼が恐れながらも好奇心を持ち続け、慎重に毎日少しづつ外へ出て行くのについて行くのは幸せな気持ちがする。猫も両親も年老いて、そろそろ体の自由も効かなくなってきている。私もあまり遠くへ遊びに行ける環境でもないなと思いながら、なんとなく金を貯めようと思っている。まあおそらく4〜5年は私の人生は停滞する時期なのかもしれないが、家族(自分に非常に似た生き物)の老いていく様を観察する最初で最後の機会だと思ってなんとなく受け入れている。自分に似た生き物はこの世にあまり替えがいないと言えるので、貴重な時期だとも思っている。

 今年は絵もあまり描けなかったしなにより音楽を全くと言っていいほど作っていない。これは少し不思議だなというか、どういうことなのか観察している。まあ作らないといけないわけでもないのだけれど、全く作らないという時期はなかったので、へえと思っている。このような創作をいづれ全く行わなくても平気になるのだろうか。そういえば本を読む時間も減った気がするな。この辺りは今後も観察を続けて自分がどのような人間になっていくのか慎重に見定めて今後も楽しんでいきたい。

今週の一曲:Can You See Me? - Octo Octa

www.youtube.com
そういえば今年は音楽もあまり聴いてないな